この記事では、サービスカタログマネジメントについて、初めての方にもわかりやすく解説します。ITサービスを提供する上で重要な管理手法であるサービスカタログマネジメントを、具体例や背景を交えながら詳しく説明していきます。
Table of Contents
サービスカタログマネジメントとは?
サービスカタログマネジメントとは、ITサービスの提供者がユーザーに提供するサービスの内容や利用条件を明確に定義し、管理するプロセスです。これにより、ユーザーは自分が利用できるサービスの範囲を正確に理解でき、提供者側も効率的な運用を実現できます。
わかりやすい具体的な例
例えば、クラウドストレージサービスの企業が、サービスカタログを通じて「容量10GBまで無料」「20GB以上は有料プラン」というような情報を顧客に提供しているケースです。
上記の図のように、サービスカタログでは、提供するサービスの具体的なプランや内容が明確に定義されています。
また、別の例としては、ITヘルプデスクが提供するサポート範囲を定義する場合があります。「電話サポートは9時〜17時」「メールサポートは24時間対応」という内容をカタログとして管理するケースです。
この図では、サービスカタログによって提供されるサポートの範囲や対応時間が明確化され、ユーザーに伝わる仕組みが示されています。
サービスカタログマネジメントはどのように考案されたのか
サービスカタログマネジメントは、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の一環として考案されました。ITILは1980年代にイギリス政府のCCTA(Central Computer and Telecommunications Agency)によって開発され、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワークです。このフレームワークの一部として、サービス提供者とユーザー間の契約や期待を明確にする目的でサービスカタログマネジメントが設計されました。
考案した人の紹介
ITILの開発は、イギリス政府のCCTAによって進められました。特に、ITサービスマネジメントのベストプラクティスを確立するため、ユーザーとサービス提供者の双方が満足する形でサービスの提供と利用ができるよう、フレームワークが設計されました。これにより、サービスカタログマネジメントが広く普及し、世界中のIT企業で活用されています。
考案された背景
1980年代後半、ITシステムが複雑化し、ユーザーと提供者の間でサービス内容の理解にズレが生じることが多くなりました。これに対応するため、サービス内容やその提供条件を正確に文書化し、誰でも理解できる形で提示する必要性が生じ、サービスカタログマネジメントが考案されました。
サービスカタログマネジメントを学ぶ上でつまづくポイント
サービスカタログマネジメントを理解する際、多くの人がつまずくポイントは、サービス定義と提供範囲の曖昧さです。特に、ITILのような大規模なフレームワーク内での位置づけや、その具体的な適用方法が難解に感じることがよくあります。サービス提供者側とユーザー側の期待が一致するよう、サービス内容を明確に定義することが重要です。
サービスカタログマネジメントの構造
サービスカタログマネジメントの構造は、提供されるサービス内容のリストアップと、その各サービスに対する利用条件や提供範囲の定義に分かれます。各サービスは、利用可能なユーザー層、サービスレベル、提供コストなどの情報と共に文書化され、カタログとして管理されます。
サービスカタログマネジメントを利用する場面
サービスカタログマネジメントは、主にITサービスプロバイダーが自社の提供サービスを明確化する際に活用されます。
利用するケース1
例えば、クラウドサービス企業が新しいサービスを導入する際に、サービスカタログを更新することでユーザーに新サービスの詳細を伝えるケースです。これにより、ユーザーは新サービスの内容や利用条件を正確に把握でき、サービス利用の判断がしやすくなります。
利用するケース2
また、ITヘルプデスクが提供するサポート範囲を整理し、サービスカタログを通じて顧客に提供する情報を一元化するケースもあります。これにより、顧客は自身が利用できるサポートサービスの範囲を正確に理解できます。
さらに賢くなる豆知識
サービスカタログマネジメントでは、一般的に「サービスレベルアグリーメント(SLA)」という契約が重要な要素となります。これは、提供されるサービスの品質や対応時間について定義されたもので、ユーザーと提供者間の期待値を明確にするために使用されます。
あわせてこれも押さえよう!
サービスカタログマネジメントを理解する上で、あわせて学ぶべきインターネット専門用語を5つ紹介します。
- サービスレベルアグリーメント(SLA)
- ITIL
- インシデント管理
- 変更管理
- 構成管理
サービスの品質や対応時間を定義する契約です。
ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワークです。
ITサービスの障害やトラブルに対処するプロセスです。
ITサービスにおける変更を計画的に実施するためのプロセスです。
ITサービスの構成要素を特定し、その変更を管理するプロセスです。
まとめ
サービスカタログマネジメントを理解することで、ITサービス提供の透明性が向上し、ユーザーと提供者のコミュニケーションが円滑になります。また、提供するサービスの範囲が明確化されることで、効率的な運用が可能となります。