ネットワーク環境でmDNS(マルチキャストDNS)を活用すると、特定のサーバーを設定しなくてもデバイス同士が名前解決を行うことができます。本記事では、mDNSの仕組みや利用場面を詳しく解説します。
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mDNSとは?
mDNS(Multicast DNS)は、ローカルネットワーク内でホスト名を解決するための技術です。通常、DNS(Domain Name System)は専用のサーバーを利用しますが、mDNSはその代わりにマルチキャスト通信を利用し、ネットワーク内の他のデバイスと直接通信を行います。
わかりやすい具体的な例
わかりやすい具体的な例1
例えば、自宅のネットワークにあるプリンタを設定するとき、特定のIPアドレスを入力することなく「printer.local」と入力するだけで自動的にプリンタを見つけられます。これがmDNSの働きです。
通常、ネットワーク上のデバイスを認識するにはIPアドレスが必要ですが、mDNSを利用すると人間が覚えやすい名前で簡単に接続できるようになります。
わかりやすい具体的な例2
スマートスピーカーがWi-Fiに接続されると、mDNSを利用して同じネットワーク上の他のスマート家電を自動的に検出し、制御できるようになります。
このように、mDNSを利用すると新しいデバイスがネットワークに追加された際に、ユーザーが手動設定を行わなくてもデバイス同士が自動で検出できるようになります。
mDNSはどのように考案されたのか
mDNSは、ネットワークの管理負担を減らし、ゼロコンフィギュレーションネットワーキング(Zero Configuration Networking)を実現するために考案されました。
考案した人の紹介
mDNSの考案者は、Appleの技術者であるStuart Cheshireです。彼はネットワーク構成を簡素化するために「Bonjour」というプロトコルを開発し、その中核技術としてmDNSを組み込みました。Cheshireは長年にわたってゼロコンフィギュレーションネットワークの普及に貢献しました。
考案された背景
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、家庭やオフィスのネットワーク環境が急速に進化し、多数のデバイスが接続されるようになりました。しかし、従来のDNSは手動設定が必要であり、家庭ユーザーにとって負担が大きかったため、mDNSが考案されました。
mDNSを学ぶ上でつまづくポイント
mDNSを学ぶ際、多くの人が「マルチキャスト」と「ユニキャスト」の違いに戸惑います。従来のDNSはユニキャスト通信(サーバーへの直接問い合わせ)を利用しますが、mDNSはマルチキャストを使用してネットワーク内の全デバイスに問い合わせを送ります。
mDNSの構造
mDNSは、UDPポート5353を利用し、224.0.0.251という特定のマルチキャストアドレスを使って動作します。
mDNSを利用する場面
mDNSは、家庭用ネットワークや小規模ネットワークでのデバイス検出に使用されます。
利用するケース1
オフィスのWi-FiプリンタがmDNSを利用することで、複数のPCがプリンタを自動検出し、簡単に接続できます。
利用するケース2
スマートホームのデバイスが、mDNSを利用して自動的にネットワーク内のデバイスを検出します。
さらに賢くなる豆知識
mDNSは、Appleの「Bonjour」やLinuxの「Avahi」で利用される技術です。
あわせてこれも押さえよう!
mDNSを理解するには、以下の技術も重要です。
- DNS
- DHCP
インターネット全体のドメイン名解決を行う技術です。
ネットワーク上のデバイスにIPアドレスを自動割り当てします。
まとめ
mDNSを学ぶことで、ネットワーク構成の負担を減らし、デバイス間の接続をよりスムーズにできます。