本記事では、LPIC-1(Linux Professional Institute)とLinuC レベル1(LPI-Japan)の2つの「ベンダー中立資格(民間資格)」について、試験方式・出題範囲・難易度・学習法・受験手順・費用などを最新情報でまとめます。どちらもLinuxの基礎~初級管理を客観的に証明でき、ITインフラ・SRE・クラウド運用の登竜門として評価が高い資格です(2025年8月30日更新)。
Table of Contents
こんな方におすすめ
- 未経験からサーバー・インフラエンジニアを目指したい方
- Linuxの基礎運用スキルを体系的に証明したい方
- 転職・社内異動で客観的な実力証明が必要な方
- クラウド(AWS/GCP/Azure)やコンテナ学習の土台を固めたい方
- 資格手当・評価制度で加点を狙いたい方
LPIC-1 / LinuC レベル1(ベンダー中立資格・民間資格)とは
LPIC-1は世界最大級のLinux認定機関LPIが実施するグローバル資格、LinuCは日本のLPI-Japanが実施する国内発のLinux認定です。どちらもディストリビューションに依存しないベンダー中立の出題で、Linux運用・ユーザー管理・ファイルシステム・ネットワーク基礎などを問います。LPICはPearson VUE経由で世界中の会場/オンライン(OnVUE)受験が可能、LinuCも国内会場/在宅のOnVUEに対応します。LPICのOnVUEはインタフェースとオンライン監督が英語のみである点に注意してください。一方、LinuCのオンライン監督は日本語対応です。
LPIC-1 / LinuC レベル1(ベンダー中立資格・民間資格)試験の概要
試験方式
- LPIC-1:CBT方式。60問/90分、単一選択・複数選択・穴埋め(記述)を含む。会場またはOnVUEで受験可。
- LinuC レベル1:CBT方式。約60問/90分、選択式中心+一部キーボード入力。会場またはOnVUEで受験可(日本語監督)。
出題範囲
- LPIC-1(101-500/102-500):システムアーキテクチャ、Linuxインストールとパッケージ管理、GNU/Unixコマンド、デバイス/ファイルシステム、シェル/スクリプト、ユーザー/グループ、ネットワーク基礎、セキュリティなど。
- LinuC レベル1(101-1000/102-1000, Ver10.0):Linux基本操作、プロセス/権限、パッケージ管理、テキスト処理、デバイス/ファイルシステム、ネットワーク基礎、仮想化/コンテナの基礎、OSS文化など。
問題数・時間・合格基準点
- LPIC-1:各試験60問/90分。スコアは200~800で、500以上が合格。
- LinuC レベル1:約60問/90分。合格点は非公開(目安として65~75%正答が紹介されることがあるが公式確定値ではない)。
難易度・合格率
最新の合格率データ
LPIC-1・LinuCともに公式の合格率は公表されていません。LinuC公式FAQでは「合格点は非公開、一般的な目安として65~75%と紹介されることがあるが公式ではない」と明記されています。
初学者でも合格可能な理由
- 学習範囲が「Linux基礎運用」にフォーカスしており、未経験でも到達可能。
- 公式の出題範囲・サンプル問題・学習ガイドが充実。
- LinuC公式が提示する一般的な学習期間の目安は1~3か月。
他資格との比較
資格 | 位置づけ | 試験構成 | 方式/時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|---|
LPIC-1 | ベンダー中立 | 2科目(101-500, 102-500) | 択一+記述/90分 | 500/800以上で合格 |
LinuC レベル1 | ベンダー中立(日本発) | 2科目(101-1000, 102-1000) | 択一中心+一部入力/90分 | 合格点非公開(目安65~75%) |
CompTIA Linux+ | ベンダー中立(国際) | 1科目(XK0-005) | 最大90問/90分 | 720/900 |
RHCSA(EX200) | ベンダー依存(Red Hat) | 1科目 | 実技/3時間 | 配点非公開 |
受験するメリット
- 就職:客観的なLinux実務基礎の証明として有効。
- 転職:運用/監視→サーバー/クラウド運用など職域拡大に有利。
- スキルアップ:体系的に学ぶことで現場トラブル対応力が底上げ。
- 年収アップ:資格手当の対象とする企業例あり。
- 未経験からのキャリアチェンジ:会場/在宅で柔軟に受験できるため計画的に挑戦可。
- 副業/フリーランス:小規模サーバー運用・移設・監視案件の入口資格として活用可。
勉強方法・対策
勉強時間の目安
フルリモート未経験者でも1~3か月を目安に学習計画を立てるのが現実的です。平日1~2時間+週末3~4時間から開始し、後半は模試/演習に比重を移しましょう。
独学と講座の選び方
- 独学:公式出題範囲に沿ってLinuxを手元で操作しながら学ぶ(仮想環境、WSL、クラウド無料枠など)。
- 講座:短期で合格ラインに到達したい/学習管理が苦手なら、LPI-Japanアカデミック認定校や認定教材を活用。
アプリや問題集の活用法
- 公式サンプル問題:主要論点を無料で確認でき、用語・操作の誤り発見に有効。スマホ学習にも相性良し。
- LPIC公式の試験概要/FAQで出題形式・配点方式を把握しておく。
おすすめ参考書・教材
初学者向けテキスト
- Linux教科書 LinuCレベル1 スピードマスター問題集 Ver10.0対応(LPI-Japan認定教材)。章末演習と模擬問題で基礎固めに最適。
過去問対策アプリ・問題集
- 公式サンプル問題(無料・Web):出題形式の理解と弱点発見に。
通信講座・オンライン講座
- LPI-Japanアカデミック認定校やセミナー・解説動画など、公式リソースを入口に選定するとミスマッチを避けられます。
試験申し込み方法・日程
受験申し込み手順
- LPIC-1:Pearson VUEのLPICページでアカウント作成→試験選択→会場/OnVUEを予約。
- LinuC:EDUCO-IDを取得→Pearson VUEにEDUCO-IDを登録→試験選択→会場/OnVUEを予約。
試験会場と日程
両資格とも全国のPearson VUEテストセンターで通年実施。自宅受験(OnVUE)も選べます。LPICのOnVUEはシステム要件がWindows/Mac限定、インタフェース/監督は英語のみ。LinuCは日本語監督対応。空き状況により希望日時が埋まるため、早めの予約が安心です。
受験料
- LPIC-1:15,000円/科目(税別)(日本国内)。
- LinuC レベル1:16,500円/科目(税込)。レベル1は2科目合格が必要。
合格後の活用方法
就職活動での活用
履歴書・職務経歴書の「資格」欄でLinux基礎運用スキルの客観的証明としてアピール可能です。
社内評価・資格手当
国内企業の一部で資格手当の対象とされており、加点や昇給のチャンスにつながるケースもあります。
次のステップ(上位資格)
- LPIC-2/LPIC-3:ネットワーク/セキュリティ/HAなどへ発展。原則5年で再認定あり。
- LinuC レベル2/3:設計・高度運用領域へ。認定の「有意性(ACTIVE)」は5年で更新が必要。
よくある質問(FAQ)
- LPICとLinuC、どちらを先に受けるべき?
国内勤務・日本語監督の在宅受験重視ならLinuC、海外案件/外資を見据えるならLPICを優先する選択が多いです。 - 有効期限は?
LPICは5年で再認定。LinuCは資格自体に有効期限はないものの、有意性維持に5年ごとの再認定が必要です。 - OnVUEは日本語で受けられる?
LPICのOnVUEは英語UI/英語監督のみ。LinuCは日本語監督に対応。 - 他資格との難易度の違いは?
LPIC/LinuCは知識ベース中心、Linux+は実践型設問を含み、RHCSAは完全実技の3時間試験。実務寄りを重視するならRHCSAの難易度は高めです。
まとめ
LPIC-1とLinuC レベル1は、Linux基礎~初級運用スキルをベンダーに依存せず証明できる王道資格です。試験は60問/90分級のCBTで、会場/在宅ともに受験しやすく、公式リソースも豊富。未経験からでも1~3か月の計画で合格が十分狙えます。キャリアの初期投資として費用対効果が高く、転職・評価・資格手当・上位資格への道筋まで見据えられるのが魅力です。まずは公式の出題範囲・サンプル問題を確認し、手を動かす学習を今日から始めましょう。