基本情報技術者試験(FE)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格(情報処理技術者試験・レベル2)です。現在は全国のテストセンターでCBT方式で通年実施され、同日連続で「科目A→科目B」を受験します。評価はIRT(項目応答理論)に基づく1,000点満点・各科目600点以上が合格基準。直近(令和7年:2025年)の合格率は月次でおおむね40%前後で推移しています。
Table of Contents
基本情報技術者試験(国家資格)とは
どんな目的向けか | 就職転職年収アップ未経験からのキャリアチェンジ |
どんな職種向けか | システムエンジニアプログラマーネットワークエンジニアITサポート社内SE |
おすすめポイント | 国家資格であるため社会的信用が高く、IT業界の登竜門的資格です。特に就職や転職の際に「ITの基礎知識がある証明」として強く評価されます。試験範囲はIT技術だけでなく、経営や法律など幅広くカバーしているため、総合的なITリテラシーを身につけることができます。未経験者でも体系的に学習を進めやすく、キャリアの土台作りに最適です。 |
未経験者が取得にかかる学習時間 | 未経験者:約200〜300時間(IT基礎知識:150時間、アルゴリズム・プログラミング:100時間、過去問演習:50時間) IT実務経験者:約50〜100時間(弱点補強:30時間、過去問演習:20〜70時間) |
総費用(教材+講習+試験料+更新料) | 教材費:2,000〜6,000円(参考書・問題集・過去問集) 講習費:0円〜30,000円(独学の場合は不要、通信講座やスクール利用時は追加) 試験料:7,500円(2025年現在) 更新料:不要 |
取得方法 | 独立行政法人IPA(情報処理推進機構)が実施する試験に申し込み、年2回(4月・10月)実施される試験に合格することで取得できます。試験は午前と午後に分かれ、選択式と記述式の両方があります。 |
合格率 | 25〜30%程度 |
試験実施場所 | 全国47都道府県で実施。北海道(札幌)、宮城(仙台)、東京、神奈川、愛知(名古屋)、大阪、京都、兵庫(神戸)、福岡など主要都市を含む全都道府県。 |
どんな企業向けか | NTTデータ, 富士通, NEC, ソフトバンク, 楽天, リクルート, 日立製作所, SCSK, 日本IBM, アクセンチュア |
詳細情報 | 詳細はこちらをクリック |
ITの基礎理論からシステム開発、ネットワーク、セキュリティ、マネジメント、経営戦略までを体系的に評価する国家試験で、情報処理技術者試験区分のレベル2に位置付けられます(上位には応用情報〈レベル3〉や高度区分〈レベル4〉)。
基本情報技術者試験(国家資格)試験の概要
試験方式
通年のCBT方式。受験者が申込時に会場・日時を選択し、同日に「科目A(終了後に最長10分休憩)→科目B」を連続受験します。結果は受験当日に画面表示で確認でき、公式の合格発表は受験月の翌月中旬に公表されます。身体の事情でCBT受験が困難な場合は年2回の特別措置試験(筆記)もあります。]
出題範囲
最新シラバスVer.9.1(2025年4月17日)に準拠。テクノロジ系/マネジメント系/ストラテジ系の3体系(科目A)に加え、科目Bは主にアルゴリズム・プログラミングと情報セキュリティを中心に出題されます。法令分野ではVer.9.1から「情報流通プラットフォーム対処法」への差し替えが反映されています。
問題数・時間・合格基準点
科目 | 形式 | 問題数 | 試験時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|---|
科目A | 多肢選択(四肢択一) | 60問 | 90分 | 1,000点満点中600点以上(IRT) |
科目B | 多肢選択(全問必答) | 20問 | 100分 | 1,000点満点中600点以上(IRT) |
※科目間の休憩は最長10分。
難易度・合格率
最新の合格率データ
IPA統計(2025年8月15日更新・令和7年7月分まで)では、月次の合格率は概ね約40%前後で推移しています(月により上下あり)。
初学者でも合格可能な理由
- 通年CBTで計画的に受験でき、不得意分野を潰してから予約しやすい。
- 出題範囲が明確なシラバスに基づくため、対策の優先順位を付けやすい。
- 科目Bはアルゴリズム/プログラミングに比重があり、演習量で伸ばしやすい。
他資格との比較
区分 | レベル | 実施方式 | 主な位置付け |
---|---|---|---|
ITパスポート | レベル1 | CBT(通年) | ITリテラシーの基礎 |
基本情報(本試験) | レベル2 | CBT(通年) | エンジニアの基礎力 |
応用情報 | レベル3 | 現在は春・秋(2026年度からCBT移行予定) | 設計・要件定義レベルの応用力 |
※区分と実施時期はIPA公式の区分一覧・実施方式に基づく。APほか上位区分は2026年度からCBTへ移行予定(発表時点の予定)。
受験するメリット
- 就職:基礎スキルの客観的証明として新卒・未経験採用で評価されやすい。
- 転職:スキル標準に沿った人材要件との親和性が高く、書類選考で差別化。
- スキルアップ:学習範囲がシラバスで明確、体系立てて弱点補強が可能。
- 年収アップ:企業での評価・資格手当や昇格基準に活用事例多数。
- 未経験からのキャリアチェンジ:IT基礎の広範囲をカバーし、学習の到達度を示せる。
- 副業/フリーランス:顧客への信頼担保(基礎力証明)として活用しやすい。
勉強方法・対策
勉強時間の目安
- 初学者:目安200〜300時間(短期集中で2〜3か月、兼業なら3〜6か月)。
- IT経験者:目安100〜150時間(弱点領域の演習中心)。
独学と講座の選び方
- 独学向き:数学的基礎と自己管理ができ、過去問演習を主軸に回せる人。
- 講座向き:短期合格を狙う/アルゴリズム・プログラミングが苦手/学習設計の伴走が欲しい人(科目A免除制度対象講座を選べば戦略的)。
アプリや問題集の活用法
- 公式「公開問題」や評価点分布で出題傾向を把握 → 苦手テーマを特定。
- スマホ学習:受験規約に配慮しつつ、スキマ時間に科目Aの反復(例:過去問アプリ)。
- Web演習:過去問道場などで高速回転→直近傾向で仕上げ。
おすすめ参考書・教材
初学者向けテキスト
- 『キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者』技術評論社(図解で基礎固め)
- 『栢木先生の基本情報技術者教科書』翔泳社(定番の総合テキスト)
過去問対策アプリ・問題集
- 『出るとこだけ!基本情報技術者 科目B』翔泳社(科目Bの要点特化)
- 『基本情報技術者 午前 一問一答問題集(アプリ)』オーム社×アプリ(反復用)
- Web「過去問道場」(無料演習サイト)
通信講座・オンライン講座
- STUDYing(動画+演習で時短学習。学習時間目安などの解説が充実)
- TAC(制度変更後の出題傾向に対応した対策情報)
試験申し込み方法・日程
受験申し込み手順
- CBTSのFE試験ページからマイページ登録。
- 会場・日時を選択(予約は申込日より3日目以降/内容変更は試験日の3日前まで)。
- 受験料支払い(クレカ/コンビニ・Pay-easy/バウチャー)。
- 本人確認書類を持参し受験(当日スコア表示→翌月中旬にIPAで合格発表)。
試験会場と日程
専用会場で通年実施。当月から3か月先の月末までの枠から選択可能(会場により実施時間帯は9:00〜21:00の範囲)。
受験料
7,500円(税込)。支払方法により所定の手数料がかかる場合があります。
合格後の活用方法
就職活動での活用
新卒/未経験採用での基礎力の証明として有効。企業の人材要件・研修体系と結びつけた活用事例が多数あります。
社内評価・資格手当
評価制度上の要件や資格手当、受験費用補助など、社内制度に組み込む企業が多く、キャリア初期の昇格要件とされる例もあります。
次のステップ(上位資格)
合格後は応用情報(レベル3)→高度区分(レベル4)へ。応用情報・高度区分は2026年度からCBT移行予定(発表時点の予定)です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 再受験の間隔は?
A. 同一区分の再申込は、前回受験日の翌日から起算して30日超で可能。 - Q. 当日の結果はわかる?
A. 受験直後に画面で科目別評価点が表示されます。 - Q. 科目A免除はある?
A. IPA認定講座の修了で、申請により科目A免除(有効期間1年)。専用の申込み区分を選択します。 - Q. 直近の出題で注意すべき改定は?
A. シラバスVer.9.1で法令分野が更新(「情報流通プラットフォーム対処法」への置換)。
まとめ
基本情報技術者試験は、通年CBT・明確なシラバス・実務直結の出題で計画的に合格を狙える国家資格です。最新のシラバスVer.9.1と月次統計を確認しつつ、科目Aは広く浅く、科目Bはアルゴリズム・セキュリティを演習中心で攻略しましょう。学習時間の目安を確保し、過去問・良書・講座を組み合わせて効率的に合格を勝ち取りましょう。