情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施する国家試験の一つで、組織の情報資産を守るための基本的な知識・技能を評価する資格です。現在はCBT方式で通年・随時に実施され、実務の現場で求められる“守りのIT”を体系的に学べるのが特徴です。特に個人情報を扱う部門や管理部門、非エンジニア職の方にも広く推奨されます。
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情報セキュリティマネジメント試験(国家資格)とは
どんな目的向けか | 就職転職年収アップ未経験からのキャリアチェンジ |
どんな職種向けか | システムエンジニアプログラマーセキュリティエンジニアITコンサルタント情報システム担当者 |
おすすめポイント | 国家資格であり、情報セキュリティに関する基礎知識を証明できるため、IT業界だけでなく一般企業の情報システム部門でも評価されます。未経験者がIT分野へキャリアチェンジする際の登竜門としても有効で、就職や転職時のアピール材料になります。 |
未経験者が取得にかかる学習時間 | 未経験者:約150〜200時間(情報セキュリティの基礎、過去問演習中心) IT実務経験者:約30〜50時間(過去問演習と最新傾向の確認程度) |
総費用(教材+講習+試験料+更新料) | 教材費:1,000〜5,000円(参考書・問題集) 講習費:0円〜10,000円(独学なら不要、通信講座やスクール利用時は追加) 試験料:7,500円 更新料:不要 |
取得方法 | 独立行政法人IPAが実施する「情報処理技術者試験」の一つである情報セキュリティマネジメント試験を受験し、合格することで取得できます。 |
合格率 | 約50% |
試験実施場所 | 全国の都道府県(東京、神奈川、大阪、愛知、福岡、北海道など主要都市を含む全国47都道府県) |
どんな企業向けか | NTTデータ, 富士通, NEC, ソフトバンク, 楽天, リクルート, KDDI, 日立製作所, サイバーエージェント, LINEヤフー |
詳細情報 | 詳細はこちらをクリック |
SGは〈共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)レベル2相当〉の試験で、情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通じて、組織のセキュリティ水準の維持・向上に貢献できる人材を認定します。対象はIT部門に限らず、営業・総務・人事・経理など幅広い職種です。
情報セキュリティマネジメント試験(国家資格)試験の概要
試験方式
全国のテストセンターで実施されるCBT(Computer Based Testing)方式です。障害等のある方を対象とした筆記(特別措置)も期日限定で用意されています。
出題範囲
「情報資産・脅威・脆弱性・リスク」「セキュリティポリシ・ISMS・教育訓練」「委託先管理・CSIRT・インシデント対応」「関連法令・規格」などを中心に、科目A(知識)と科目B(ケーススタディ)で、現場実践に必要な基礎を幅広く問います。
問題数・時間・合格基準点
- 試験時間:120分(2科目一体で実施)
- 出題形式:科目A=多肢選択(四肢択一)/科目B=多肢選択
- 出題数・解答数:60問/60問(科目A48・科目B12が目安)
- 採点方式:IRT(項目応答理論)
- 合格基準:総合評価点 1,000点満点中 600点以上
難易度・合格率
最新の合格率データ
IPA公表の月次統計によると、2025年4〜7月の月次合格率は概ね70%台で推移(例:4月72.4%、5月76.6%、6月74.1%、7月71.7%)。直近はおおむね「70%前後」が目安です。
初学者でも合格可能な理由
- CCSFレベル2相当で、プログラミングや高度な数理は不要(知識+事例理解が中心)。
- 出題は実務に直結する“守りのIT”が中心で、未経験者でも学習計画を立てやすい。
- 月次合格率はおおむね70%前後で推移しやすい(学習効果が反映されやすい出題設計)。
他資格との比較
区分 | レベル | 主な特徴 |
---|---|---|
ITパスポート(iパス) | レベル1 | ITリテラシの基礎。全職種向けの入門。 |
情報セキュリティマネジメント(SG) | レベル2 | 管理・運用寄りのセキュリティ基礎を体系化。 |
基本情報技術者(FE) | レベル2 | アルゴリズム/プログラミングを含む技術寄り基礎。 |
応用情報技術者(AP) | レベル3 | 設計・マネジメント・戦略を含む応用的内容。 |
情報処理安全確保支援士(SC) | レベル4 | 高度なセキュリティ専門職向け国家資格。 |
(各レベルの位置づけは経産省/IPAの区分に基づく。)
受験するメリット
- 就職:国家試験として評価の物差しになり、基礎的なセキュリティ知識を客観的に証明できます。
- 転職:実務でのセキュリティ配慮を示せるため、非エンジニア職でもアピール材料になります。
- スキルアップ:ISMSやリスクマネジメント等、組織で役立つ“守りの知識”を体系的に学べます。
- 年収アップ:企業の評価制度・資格手当の対象となるケースがあり、評価の可視化に寄与します。
- 未経験からのキャリアチェンジ:IT未経験でも入り口資格として位置づけられやすい。
- 副業/フリーランス:顧客情報の取り扱いポリシやセキュリティ提案の基礎を学べ、信頼性向上に寄与。
勉強方法・対策
勉強時間の目安
- 初学者:60〜100時間(3〜6週間目安)
- 実務経験者:30〜60時間
短期集中で「基礎インプット → 公開問題・問題集で演習 → 弱点補強」を1〜2サイクル回すのが効率的です。
独学と講座の選び方
- 独学:最新シラバス対応のテキスト+公開問題で十分合格可能。ケース問題(科目B)は必ず演習。
- 講座:学習時間の確保が難しい人は、模試・添削や直前対策が付く講座を選ぶと効率的。
アプリや問題集の活用法
- 公開問題(科目A/B)の定着:IPAの公開問題・解答例を周回。
- Web問題集「過去問道場」:スマホで分野別・模試形式を反復。
- 学習アプリ:市販の科目A対策アプリでスキマ時間演習。
おすすめ参考書・教材
初学者向けテキスト
- 『徹底攻略 情報セキュリティマネジメント教科書 令和7年度』(インプレス)
- 『ニュースペックテキスト 情報セキュリティマネジメント 2025年度版』(TAC出版)
過去問対策アプリ・問題集
- 情報セキュリティマネジメント試験ドットコム(公開問題・道場・解説)
- 2025年版 情報セキュリティマネジメント問題集(iOS/Android)
通信講座・オンライン講座
- TAC:CBT対応Web模試・講座(直前対策を含むコースあり)
試験申し込み方法・日程
受験申し込み手順
- CBT-SolutionsのSG試験ページにアクセスし、受験者マイページを作成。
- 会場・日時を選択し、受験料を支払い(バウチャー利用可)。
- 予約確定後、受験票・当日の持ち物等を確認のうえ受験。
試験会場と日程
会場は全国のCBTテストセンター。通年・随時で実施され、希望に合わせて日時選択が可能です(障害等のある方向けに、期日限定の特別措置の筆記試験も実施)。
受験料
7,500円(税込)。最新の手数料と実施スケジュールは公式案内をご確認ください。
合格後の活用方法
就職活動での活用
国家試験としての客観指標となり、IT部門以外でも基礎的なセキュリティ素養を示せます。企業・官公庁・教育機関の活用事例が公開されています。
社内評価・資格手当
社内の評価制度や資格手当の対象とされる事例があり、評価の可視化・人材育成の観点からもメリットがあります。
次のステップ(上位資格)
- 技術基礎を広げる:基本情報技術者(FE, レベル2)→応用情報(AP, レベル3)
- 専門性を高める:情報処理安全確保支援士(SC, レベル4)
自身の業務領域やキャリア志向に合わせて選択しましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q. 受験資格はありますか?
A. 年齢・学歴・国籍・実務経験等の制限なく申込できます(国家試験の一区分として通年CBTで公開)。 - Q. 合格の有効期限はありますか?
A. 合格そのものに有効期限はありません。 - Q. 科目A/Bのどちらかが苦手でも合格できますか?
A. 合否は「総合評価点」で判定されます。全体で600点以上を狙い、弱点は過去問で補強しましょう。 - Q. 勉強は独学でも大丈夫?
A. 公式公開問題+最新シラバス対応テキストで十分合格可能です。模試やアプリを併用すると効率が上がります。 - Q. いつ受けられますか?
A. 通年・随時で、希望の会場・日時をCBT予約サイトから選びます。
まとめ
情報セキュリティマネジメント試験は、全職種で求められるセキュリティ基礎を“国家試験”として可視化できる実務直結の資格です。CBTで通年受験でき、出題は知識(科目A)とケース(科目B)を通じて現場対応力をバランス良く評価します。まずは公式の出題内容・公開問題を押さえ、最新テキストやWeb問題集・アプリで反復し、総合評価600点以上を確実に取り切る学習計画を立てましょう。