【サーバーNo.504】今更聞けない!アプリケーションロードバランサーをサクッと解説

サーバー サーバー
この記事は約8分で読めます。

アプリケーションロードバランサーは、Webサイトやアプリケーションの安定した運用を支える重要な仕組みです。本記事では、初心者の方でも理解できるように、具体例や図解を交えてわかりやすく解説します。

スポンサーリンク

アプリケーションロードバランサーとは?

アプリケーションロードバランサーは、複数のサーバーへアクセスを効率よく分配し、システム全体の負荷を均等にする仕組みです。これにより、特定のサーバーに負荷が集中することを防ぎ、サービスの安定性や応答速度を向上させます。

わかりやすい具体的な例

例えば、大人気の飲食店に並ぶお客様を複数の店員が手際よく案内するイメージです。もし一人の店員だけが対応していたら大混雑しますが、複数の店員が案内することで待ち時間が短くなります。アプリケーションロードバランサーも同様に、アクセスを均等に振り分けます。

flowchart LR User[ユーザーのリクエスト] --> ALB[アプリケーションロードバランサー] ALB --> Server1[サーバー1] ALB --> Server2[サーバー2] ALB --> Server3[サーバー3] note over ALB: 負荷を分散し、 サーバーの負担を軽減

ユーザーのリクエストはアプリケーションロードバランサーで受け取られ、空いているサーバーに振り分けられるため、混雑することなく快適にサービスを利用できます。

また、通販サイトで大量の注文が来た場合、複数の梱包作業員に注文を割り振って、出荷作業がスムーズに進むようにするのも同じ考え方です。

flowchart LR Orders[大量の注文] --> ALB[アプリケーションロードバランサー] ALB --> Packer1[梱包作業員A] ALB --> Packer2[梱包作業員B] ALB --> Packer3[梱包作業員C] note over ALB: 作業効率を均等に 管理・最適化

注文が特定の作業員に集中せず、全員がバランスよく対応することで、注文処理が迅速かつ正確に行われます。

スポンサーリンク

アプリケーションロードバランサーはどのように考案されたのか

インターネットの普及と共に、多くのユーザーが同時にWebサービスを利用するようになり、サーバーへの負荷が大きな課題となりました。特に1990年代後半、eコマースやオンラインサービスが急成長する中で、単一サーバー構成では対応しきれない状況が発生しました。この課題を解決するために、複数サーバー間で負荷を分散させる技術としてロードバランサーが考案されました。その中でもアプリケーション層で動作し、柔軟なルール設定が可能なアプリケーションロードバランサーが登場したのです。

flowchart TD Internet[インターネットの普及] Internet --> Demand[同時アクセスの増加] Demand --> Problem[サーバー負荷集中問題] Problem --> Solution[ロードバランサーの考案] Solution --> ALB[アプリケーションロードバランサーの登場] note over ALB: 柔軟な振り分けルールで 安定運用を実現

考案した人の紹介

アプリケーションロードバランサーの発展に大きく貢献したのは、F5 Networksの創業者であるジェフ・ハスティングス氏です。彼は、インターネットトラフィックの急増に対応するため、1996年にロードバランサーを商用化し、多くの企業に導入しました。その後、より柔軟なアプリケーション層での制御を実現し、今日のアプリケーションロードバランサーの礎を築きました。

考案された背景

1990年代後半のインターネットバブル期、eコマースサイトやWebアプリケーションの急成長により、サーバーへの同時アクセスが爆発的に増加しました。この背景から、サービスの安定稼働と高速な応答を求める企業が増え、ロードバランサー技術の必要性が高まったのです。

アプリケーションロードバランサーを学ぶ上でつまづくポイント

多くの人がつまづくのは、アプリケーションロードバランサーとネットワークロードバランサーの違いです。アプリケーションロードバランサーはOSI参照モデルの第7層(アプリケーション層)で動作し、URLパスやヘッダー情報に基づく高度な振り分けが可能ですが、ネットワークロードバランサーは第4層(トランスポート層)で単純な負荷分散を行います。この層の違いと制御の柔軟さが理解できるまで時間がかかる場合があります。

スポンサーリンク

アプリケーションロードバランサーの構造

アプリケーションロードバランサーは、リスナー、ターゲットグループ、ヘルスチェックの3つの主要コンポーネントから成り立っています。リスナーが受信したリクエストを、ターゲットグループ内の健全なサーバーへルールに従って振り分け、定期的なヘルスチェックで不具合のあるサーバーを除外します。

flowchart TD User[ユーザーのリクエスト] User --> Listener[リスナー] Listener --> Rule[ルール判定] Rule --> TargetGroup[ターゲットグループ] TargetGroup --> ServerA[サーバーA] TargetGroup --> ServerB[サーバーB] TargetGroup --> ServerC[サーバーC] TargetGroup --> HealthCheck[ヘルスチェック] note over HealthCheck: サーバーの状態を定期確認し、 不具合があれば自動で除外

アプリケーションロードバランサーを利用する場面

アプリケーションロードバランサーは、多くの同時アクセスがあるWebサイトやアプリケーションで活用されます。

利用するケース1

大規模なECサイトでは、セール期間中にアクセスが集中することがあります。この際、アプリケーションロードバランサーを導入することで、リクエストが複数のWebサーバーに均等に分配され、サーバーの過負荷やダウンタイムを防ぐことができます。これにより、ユーザーはストレスなく商品購入が可能になります。

flowchart LR Sale[セール期間中のアクセス増] Sale --> ALB[アプリケーションロードバランサー] ALB --> WebServer1[Webサーバー1] ALB --> WebServer2[Webサーバー2] ALB --> WebServer3[Webサーバー3] note over ALB: アクセスを均等に分散し、 サーバーダウンを防止

利用するケース2

動画配信サービスでも、ユーザー数の増加に伴い負荷分散が必要です。アプリケーションロードバランサーを利用し、視聴リクエストを複数のストリーミングサーバーに分散することで、遅延なくスムーズな動画再生が実現できます。また、視聴地域に応じた最適なサーバーへのルーティングも可能です。

flowchart LR Viewer[視聴リクエスト] Viewer --> ALB[アプリケーションロードバランサー] ALB --> Stream1[ストリーミングサーバー1] ALB --> Stream2[ストリーミングサーバー2] ALB --> Stream3[ストリーミングサーバー3] note over ALB: 各地域ごとに最適なサーバーへ リクエスト振り分け

さらに賢くなる豆知識

アプリケーションロードバランサーは、SSL/TLSの終端処理を行うことができます。これにより、個々のサーバーでSSL証明書を管理する必要がなくなり、セキュリティと管理コストの両面でメリットがあります。また、WAF(Web Application Firewall)と連携することで、セキュリティ強化も図れます。

スポンサーリンク

あわせてこれも押さえよう!

アプリケーションロードバランサーの理解において、あわせて学ぶ必要があるサーバーについて5個のキーワードを挙げて、それぞれを簡単に説明します。

  • リバースプロキシ
  • クライアントからのリクエストを受け取り、内部サーバーに転送する役割を持つサーバーです。セキュリティや負荷分散に利用されます。

  • DNSサーバー
  • ドメイン名とIPアドレスを対応させるサーバーで、ユーザーが入力したURLを適切なサーバーに導きます。

  • キャッシュサーバー
  • 頻繁にアクセスされるデータを一時保存し、サーバー負荷の軽減と応答速度の向上を図るサーバーです。

  • Webサーバー
  • HTMLや画像などのコンテンツをクライアントに提供するサーバーで、ApacheやNginxが代表例です。

  • データベースサーバー
  • 大量のデータを効率よく管理し、必要な情報を提供するサーバーです。MySQLやPostgreSQLなどが一般的です。

まとめ

アプリケーションロードバランサーの仕組みを理解することで、Webサービスの安定性や効率を高める手段を身につけることができます。業務でのシステム設計や運用だけでなく、日常的なWeb利用においても役立つ知識です。

スポンサーリンク