未経験からITエンジニアを目指す人や、ITパスポートの次に何を学ぶか迷っている人に向けて、基本情報技術者試験の準備をまとめました。試験制度だけでなく、科目別の練習方法と、合格後に仕事へつなげる行動まで確認できます。
公式情報確認日:2026年9月20日。
基本情報技術者試験の内容と難易度
基本情報技術者試験は、ITを使う知識から一歩進み、システムを作り、運用するための基礎を学ぶ試験です。科目Aと科目Bでは問われ方が違うため、最初から両方の問題を見て学習計画を立てましょう。
| 時間・問題数 | 90分・60問 |
|---|---|
| 形式 | 四肢択一 |
| 練習の重点 | 用語の区別、仕組み、計算 |
| 時間・問題数 | 100分・20問 |
|---|---|
| 形式 | 多肢選択 |
| 練習の重点 | 処理の追跡、条件の読解、セキュリティ |
科目Aは90分・60問、科目Bは100分・20問
科目Aは90分で60問の四肢択一問題に解答し、技術・管理・経営に関する知識を幅広く確認します。科目Bは100分で20問の多肢選択問題に取り組み、アルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティを中心に考える力を問います。現在の通常の受験は会場のパソコンを使うCBT方式です。古い教材にある「午前・午後」「午後は言語を選択する」といった説明を、そのまま現行試験の準備に使わないようにしてください。
科目Aと科目Bは同じ日に連続して受験し、間の休憩は最長10分です。科目Aの勉強が全部終わってから科目Bを始めると、手順を追う練習が足りなくなることがあります。初週から両科目の公開問題に触れ、用語の理解と処理の読み取りを並行して進めましょう。例えば、平日の短い時間に科目Aの復習をし、机に向かえる時間に科目Bの変数の変化を書き出す、と分ける方法があります。試験の時間だけでなく、受付と移動も含めて予定を確保することが必要です。
合格には両科目で評価点600点以上が必要
合格基準は、科目A・科目Bのそれぞれで1,000点満点中600点以上を取ることです。片方が高得点でも、もう片方の不足を合計点で補うことはできません。評価点はIRTに基づいて算出されるため、問題数から単純に「何問正解すれば必ず合格」と換算するのも適切ではありません。演習の正答率は復習の目安として使い、本番の評価点と同じものとして扱わないようにします。両科目について、初めて見る問題をどの程度自力で解けるかを確認してください。
IPAの2026年7月分統計では、2026年度4〜7月の受験者44,025人に対し、合格者は16,955人、合格率は38.5%です。これは年度途中の累計であり、一年間の確定値ではありません。また、受験者の経験や準備状況はさまざまなので、この数字だけで自分の合格可能性は判断できません。難しさを見極めるには、用語を知らずに止まるのか、処理の途中で値を追えなくなるのかを分けます。足りないものを知識と演習技能に分けると、次に取り組む教材や練習方法を選びやすくなります。
ITパスポートと迷うなら、目指す仕事から決める
基本情報技術者試験は、開発や運用に関わる仕事の基礎を学びたい人に向いています。ITパスポートは、ITを利用する仕事に必要な共通の知識を学ぶ試験です。どちらを先に受けるかは、資格名の印象ではなく、学びたい範囲で考えましょう。ITパスポートの合格が基本情報の受験条件というわけではないため、既に基礎用語が分かり、アルゴリズムにも取り組みたい人は基本情報から始められます。まず公開問題を見て、説明を読んでも理解できない箇所がどこか確認してください。
一方、ネットワークやデータベースという言葉自体に馴染みがないなら、基礎用語を整理する時間を先に取ると学習を進めやすくなります。必ず別の試験を受ける必要はなく、入門教材で不足を補う進め方でも構いません。ITパスポート・SG・基本情報の比較では、目的ごとの違いを確認できます。資格を一つずつ集める計画を先に作るより、求人や現在の担当業務で必要な知識を書き出し、その不足を埋める試験を選んでください。
出典:IPA・基本情報技術者試験/試験要綱/2026年7月分統計
基本情報技術者に向けた実践的な勉強手順
基本情報の対策では、覚えた用語を説明する練習と、処理を一行ずつ追う練習を分けると弱点が見えます。次の3つを一週間の中で回し、解説を読んだだけで終わらない学習にしましょう。
科目Aは、誤答の理由と計算の手順を残す
科目Aの学習では、問題を解いた後に正解した数だけを記録せず、間違えた原因を残します。例えば、認証と認可を取り違えたなら、それぞれ何を確認する仕組みかを一文ずつ説明します。ネットワークの計算問題で止まったなら、公式だけでなく、何を求めるためにどの数値を使うのかを書き出してください。同じ選択肢を見れば答えられる状態から、表現や数値が変わっても判断できる状態へ進めることが目的です。解説を写すより、自分の誤解を短く言葉にするほうが復習に使いやすくなります。
学習範囲は公式シラバスと照合し、得意な技術分野だけに偏らないようにします。一週間の終わりに間違いの記録を分類し、計算、用語の区別、管理手法など、失点が重なっている項目から翌週の復習を決めましょう。教材は受験時期に対応する版を選び、旧制度の問題集を使うときは形式や範囲の違いを確かめます。短い空き時間には用語確認、まとまった時間には計算のやり直しと使い分けると、仕事や学校がある日でも学習を続けやすくなります。
科目Bは、変数と配列の変化を手で追う
科目Bのアルゴリズム問題は、文章や擬似言語を眺めて答えを推測するより、値の変化を書き出して解く練習が有効です。変数名を列にし、繰り返し処理の一回ごとに値を記録すると、どの条件で動きが変わるのかを確認できます。配列の添字、繰り返しを終える条件、値を更新する順番は、読み違いが起きやすい部分です。正解できなかった問題では、解答だけでなく、最初に自分の記録と正しい処理がずれた行を探してください。原因を一つに絞ると次の問題で注意する点が明確になります。
練習を始めた段階では速さより正確さを優先し、慣れてから時間を測ります。自分で小さな入力例を作り、要素が一つの場合や同じ値が並ぶ場合にどう動くかを考えると、処理の意味を理解しやすくなります。情報セキュリティの問題では、守る対象、権限、攻撃の入口、対策の目的を整理し、文章にない前提を足さずに判断しましょう。科目Bは特定のプログラミング言語の文法を暗記するだけの対策では足りません。公式のサンプル問題と公開問題で、問題文に示されたルールを読み取る練習を重ねてください。
独学と講座は、理解が止まる場所で選ぶ
独学で進めるなら、科目Aの説明と科目Bの手順が両方分かる教材を選び、まず一週間使ってみます。読むだけで納得できるか、演習の解説で自分の誤りを直せるかを確認してください。必要な勉強時間は経験や得意分野で変わるため、全員に同じ時間数を当てはめるより、一週間に確保できる時間と実際に進んだ範囲から計画を調整するほうが現実的です。通勤時間だけでは図や処理を追いにくい場合、週末に机に向かう時間を別に確保します。
講座を選ぶ場合は、科目Bの説明をサンプルで確認し、分からない行について質問できるか、回答期限や回数に条件があるかを比較します。動画があるだけで、自分の疑問に回答してもらえるとは限りません。スタディングの講座を選ぶ際の確認事項も参考に、対象コースと受講期限を公式ページで照合してください。科目A免除を目的に申し込む場合は、通常の合格対策講座と免除対象の認定講座を取り違えないことも大切です。
学習範囲・問題はIPAのシラバス・サンプル問題・公開問題への案内から確認できます。
基本情報の学習を就職・転職や仕事につなげる
基本情報の合格は基礎知識を学んだことを伝える材料になりますが、実務経験そのものにはなりません。応募書類、制作物、次の学習の3つに分けて、取得後に説明できることを増やしましょう。
応募書類には、志望職種と学んだ内容の接点を書く
履歴書では資格欄に正式な試験名と合格年月を記載し、自己PRでは志望職種に関係する学習を具体的に説明します。開発職ならアルゴリズムをどのように練習したか、運用職なら障害やセキュリティを考える際にどんな知識を学んだか、と接点を絞ると伝わりやすくなります。「IT全般ができます」と大きく言うより、理解したこととまだ実務で経験していないことを分けて話してください。資格の有無だけで採用や年収が決まるわけではないため、求人の仕事内容を読む作業も必要です。
応募前には、求人票の必須条件と歓迎条件を分け、資格がどちらに書かれているかを確認します。経験が必要な作業を試験合格だけで満たしたことにはできませんが、学習を続けた過程や基礎を確認した証拠は示せます。未経験からIT転職を考えるときの準備で仕事内容の整理をしたうえで、面接では「なぜその職種か」「現在何を練習しているか」まで話せるようにしましょう。資格手当や受験料補助を期待する場合も、企業ごとの現行制度を確認して判断してください。
小さな制作物で、設計から確認まで経験する
開発に興味があるなら、例えば架空の読書記録を登録・検索する小さなアプリを作り、試験で学んだ考え方を試してみます。最初から多機能にせず、保存する項目、入力できない値、検索の条件を先に決めてください。実装後は、空欄や重複したデータを入れたときにどうなるかを確認し、直した箇所を残します。これは個人の練習例であり、企業の採用課題や実務経験ではありません。それでも、仕様を決め、動作を確かめた過程は自分の理解を点検する材料になります。
制作物には使い方だけでなく、どこまで実装したか、何を確認したか、未対応の点も書き添えます。画面が動いたことだけを成果にせず、データの扱い方やエラー時の動きを説明できるようにすると、学んだ知識とのつながりが見えます。会社の顧客情報や社内資料を練習用に持ち出さず、架空のデータや利用条件を確認したデータを使ってください。運用に関心がある場合は、構成図や復旧手順書を作る練習でも構いません。目指す仕事に合わせて、一つの課題を最後まで確認することを優先しましょう。
次の資格と実務練習のどちらを優先するか決める
合格後に応用情報技術者試験へ進むと、より広い技術知識や事例を読み解く力を学べます。ただし、基本情報に合格したら必ずすぐに上位試験へ進む必要があるわけではありません。求人で特定の言語やクラウドの操作経験が求められているなら、まず手を動かす学習を優先したほうが、応募準備として役立つ場合もあります。現在の仕事で設計や改善の判断に関わり始めた人は、応用情報の範囲を業務と照らし合わせることで、次に補いたい知識を見つけやすくなります。
選ぶときは、今後三か月でできるようになりたい作業を一つ書き、そのために不足する知識と経験を分けます。知識の不足が広いなら応用情報技術者の記事で学習範囲を確認し、操作経験が不足しているなら小さな構築や制作を計画に入れます。2026年度の応用情報はCBTへの移行に伴って日程や受験方法が変わるため、過去の春・秋の日程を前提にしないでください。資格学習と実践のどちらか一方だけを延々と続けず、目的に合わせて配分を変えましょう。
基本情報技術者の申し込み・免除・再受験FAQ
申し込みでは、試験日の空席だけでなく変更期限や免除条件も確認する必要があります。特に2026年末の実施予定と再受験の間隔は、学習計画に余裕を持たせるために押さえておきましょう。
受験料と2026年末の予約で注意することは?
受験料と2026年末の予約で注意することは?
受験手数料は税込7,500円です。公式の受験者サイトから会場と日時を選び、申込画面の案内に従って支払いを行います。日程や会場の変更は試験日の3日前までなので、予定が変わったら期限内に手続きを完了させてください。参考書や講座の費用は受験料と別です。会社の補助制度を使う場合は、事前申請や領収書の条件を支払い前に確認すると、後から必要な手続きが分かって困ることを減らせます。登録する氏名と本人確認書類の表記にも注意しましょう。
2026年9月時点の案内では、予約できる試験日は2026年12月27日までです。システム更改に伴う休止が予定されているため、年明けにいつでも受けられると考えて予定を先延ばしにしないでください。会場の実施日と空席はそれぞれ異なります。再開時期などの追加案内はIPAの公式ページで確認し、希望日を選べるかは受験者サイトで確かめます。試験当日は指定条件を満たす本人確認書類が必要なので、予約完了後に会場までの経路と持ち物を一緒に確認しておきましょう。
科目A免除は、講座を受ければ自動で適用されますか?
科目A免除は、講座を受ければ自動で適用されますか?
科目A免除は、IPAに認定された講座を受講し、修了試験に合格するなど、修了認定の基準を満たすことで利用する制度です。一般の対策講座を購入しただけで適用されるものではありません。受講前に、その講座が制度の対象か、必要な受講項目、修了試験の日程、費用に何が含まれるかを確認してください。「基本情報対策」と書かれている講座がすべて免除に対応するわけではないため、提供元の説明だけでなく、IPAの制度案内とも照合することが大切です。
修了認定後も、免除の有効期間や受験申込時の手続きがあるため、認定を受けた日から何をすればよいかを整理しておきます。科目Bへの準備は別に必要です。科目Aの負担が減ることだけに注目せず、受講時間と総費用、修了試験までの予定を含めて通常受験と比べてください。独学で科目Aの理解が進んでいる人と、授業の支援を受けながら基礎から学ぶ人では、制度を使う意味が異なります。申込時は自分の認定状況に合う試験を選び、入力内容を確認してから確定しましょう。
不合格の場合、すぐにもう一度受験できますか?
不合格の場合、すぐにもう一度受験できますか?
一度受験した場合、次の受験日として指定できるのは、前回の受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降です。公式の例では、5月1日に受験した人は6月1日以降に再受験できます。一方、再申し込み自体は、申込済み試験の終了時刻後、システムの処理を経て可能になります。「30日たつまで申し込みもできない」という意味ではありません。受験日の制限と手続きを開始できる時点を分けて理解し、実際の予約可能日は申込画面で確認してください。
次回の受験には改めて受験手数料が必要です。結果を確認したら、まず不足した科目を把握し、知識不足、処理の読み違い、時間配分のどこを直すか決めましょう。受験した問題の内容を外部へ共有するのではなく、公式の公開問題などを使って弱点を練習します。年末の休止予定と再受験の間隔が重なる場合、希望する時期に受け直せない可能性もあるため、余裕を持った計画が必要です。同じ教材を同じ順番で繰り返すだけにせず、初めて見る問題で改善できたかを確かめてから次の受験に臨みます。

